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仔犬のすてっぷ

第35章 仔犬達の宴のなかで (エッチシーンあり〼)



 ふたりでまったり部屋で過ごす……。
ただ、夕方からのニュースが始まるまで、僕らは昼ごはんも食べないままぼけ〜〜っ…と過ごしていた。



昨日は色々ありすぎて。


拐われて、色々されて、戦って……。

 頭の中が正常な状態にもどるまで、僕はこんな感じなんだろうか?


何より、僕が〈能力者〉だ、なんて言われて。

奇妙な感覚……不思議な体験。

あれが僕の “力” だなんて……。



LOVEIT………
結局の所、いまいちよく解んない、すごい力だってことくらいしか理解できない自分がいる。

 相手の考えている事が解る、相手の行動の先が見える…特に、『愛』で繋がっている相手にはテレパシーみたいな感覚共有まで出来る……はずなんだけど。

 目の前で僕に背中を見せたまま、おそらくはこの後僕をどうにかしたいと思っているはずの蒼空の思考は……全く読めていなかった。


(……神経増幅剤が無いと、力が使えない……のかなぁ?)

 あの時の感覚を思い出しながら色々試してみているのに……彼の声は聞こえてこないし向こうにも伝わっていないらしく、頭の中で呼びかけているのに振り向きもしない。

(……それとも、追い詰められてからじゃないと力が発揮されないの……かなぁ?)


 テレビの大して面白くもないレポーターのボケに反応して「ははは」と笑う彼を見ながら僕は深い溜め息をついた。



「…なあ?腹減らねえ?そろそろ夕飯どうするか決めねえか?」

たしかに今日はお昼食べてないし……
言われてからお腹がそれを思い出したのか…今頃になってぐううううぅっ!と大きな音を立てた。


「…なあ?たまにはハンバーガーなんてどうよ?優希は自炊メインだからあんまりそういうの食べてねえんじゃねえの?」


確かに…基本自炊して、翌日のことを考えた献立にすることが多い僕からすれば、ファーストフード系の食事は外出した時しか食べることはない。


「……そうだね。たまにはそういうのも良いか……な?♬」


「んじゃ、決まりだな。買いに行こうぜ?」



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