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仔犬のすてっぷ

第36章 36章 これから先は・・・


『いや、まあ、健全かどうかはともかく、とりあえずは落ち着いているようだな?
電話したのは昨夜の件であれからごたついていてな、パンドラは当面営業見合わせになるし、うちの店にも刑事が来ていろいろ調べたり調書取ったりされて、今日、明日は営業できそうにないんだ。
刑事がお前たちの話も聞きたいって言ってるからな、ちゃんと身奇麗な服装で店に来い。もちろん蒼空の坊やも連れてくることを忘れるな?下手に逃げたりすると話がややこしくなるからな、できるだけ早く店に来てくれ』

…と、言いたいことを言うだけ話して、一方的に電話は切られてしまった。


「…刑事……何か、大事になってるのかなぁ?」

 通話の切れたスマホの画面を見ながら僕がそう呟くと、蒼空は大きな欠伸をしたあとで話しかけてきた。


「そりゃ、まああんだけの騒ぎになったんだ。刑事さん達も暇人じゃないんだから、事件として色々やんなきゃならんことがあるんだろうさ」

「僕ら、あの場所からすぐに逃げたのに…これじゃ、意味がないんじゃ??」

 頭をボリボリ掻きながら僕を見ていた蒼空が、ニンマリと何か企んだかのような顔でボクの目を見てきた。


「日本の警察ってのは世界的に見てもかなり優秀らしいからな。たとえ今から逃げようとしても遅いだろ。
多分、もう関係者は全部ばれていて、もしかすると監視もついているかも知れないぜ?」


そんな・・・それじゃ、昨夜僕達を逃がすためにあの場に残った幸お姉ちゃんやトーマスさん、サラさん達は……。


「そんなに心配しなさんな。俺達はなんにも悪いことはしちゃいねえんだ。胸張って、堂々としてればいいんじゃね?」


・・・そりゃあ、そうだろうけどさ……。
どうしてそんなに落ち着いていられるんだ?君は。


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