テキストサイズ

え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第5章 勇者光邦

チョットは山の中を走っていた。

その手には、国王から貰った銅製の剣を持って……。

山を一つ下り、また山を登る。

途中、巨大カエル「キュージコージ」の糞を食い、草原を抜け、再び南のジャングルへ……。

息苦しさを感じている暇はない。

とにかくチョットは、走って走って走りまくった。

心臓が痛くなり、肺が締め付けられる。

ピンク色の汗が、ミノを鮮やかに染め上げる。

罠のある赤いプレートを見かけると、慎重に進んだ。ゆっくり、しっかり、木の根元まで注意する。

そして、小屋についた。

ウラユがしばらくの間、生活していた小屋だ。

ノックをするが、誰も出てこない。鍵は開いている。

中はすっかり、もぬけの殻。

ただ自分が借りていた、白いTシャツとズボンはあった。

置いてあるということは、おそらく誰の物でもないのだろう。

とりあえず、それに着替えた。

小屋を出ると、その横手に、溜池がった。

その溜池に、銅製の剣とミノを放り込んだ。

黒い雲が集まり、雷が落ちる。

池の中央から、一人の全裸スカのハゲたおっさんが出て来た。

「あなたが、落としたのは、この金の剣と金のミノか、銀の剣と銀のミノか、はたまた銅製の剣と普通のミノか」

「銅製の剣と普通のミノです」

「あなたは正直ものですね」おっさんは銅製の剣と普通のミノをチョットに渡した。


「いや、3つ全部くれませんよ」

チョットは再び銅製の剣とミノを入れた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ