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え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第4章 ターキー国

後ろを見れば、緑のジャングルといくつも連なる広大な山が見える。

今しがた越えてきたばかりの山だ。

チョットは壁伝いに歩きだす。

「このまま歩いていけば、必ず門につきます」

「ぅえ~、まだ歩くのぉ~?」

「歩けないのなら、走りますか?」

「逃げるあんたを追いかけるのに、クソほど走ったわよ」

「はい、捕まって真後ろにぶん投げられたことは、大変重く受け止めております」

「私も初めて、投げっぱなしジャーマン決めたわ」

このままジッとしていても始まらないと、光邦は渋々と歩きだした。

左に向いて、20分、30分、歩けど歩けど鉄の壁は続く。

しかも長い時間、ステージ衣装のスポーツブラとホットパンツ姿でいるのは初めてで、汗がたまると痒くなる。

「ウラユちゃん、洗ってくれたのはいいけど、少し生地が縮んでるのよねぇ……パッツンパッツンだわ」

チョットが着ているミノも縮んでおり、後ろから見れば、尻が丸出しである。

誰のものかはわからないジャケットは、岩や木に擦れてぼろぼろ。

最悪なことに、携帯電話をウラユの小屋に忘れていることに気がついた。

電波が届かなければ、ただの塊。半ば諦めて、歩いていると……、

「着きました。入り口です」

そう言って、チョットが立ち止まった。

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