蜜と獄 〜甘く壊して〜
第6章 【あなたに壊されたい】
「ご指名ありがとうございます、リリカです」
本日5人目の新規。
少し古びたジーンズに茶色いポロシャツと年は50代といったところだろうか。
こういうお店に慣れてなさそうな感じが返って新鮮だ。
ハンチング帽を深く被り恥ずかしそうに「宜しくお願いします」と言われた。
いつものように他愛もない会話から始まり、笑顔も出てきたところで股関に手を伸ばす。
「お久しぶりですか?こういうの」
まだ反応がなかったペニスが撫でるうちに固さを帯びていく。
身体は正直です。
新規で最短の20分コースだから本当に抜きに来ただけか、初体験で怖気付いているだけか。
「はい、久しぶりです」
マッサージも行いながら綺麗に拭き取り、ローションを垂らす。
クチュクチュと音を出してゆっくり上下に手を動かした。
「あぁっ……」
オジサマの喘ぎ声もなかなか興奮するものですね。
両手で竿と亀頭を刺激してもうひと回り大きくしていく。
すると、ゴソゴソと何かを取り出したかと思えば長方形の黒い手帳のようなものをお腹の上に出して来たので目だけで察知し、首を傾げた。
その手帳はお腹の上で私に向かって開かれた。
恐らく、ソファーに座っているからマジックミラーからは見えてるはずだが書いてある文字までは私しか読み取れないだろう。
接客中にこんな事をしてきたお客様は初めてで少し動揺したが手コキを止めてしまったらしらけると思い動かし続けた。
捲られた最初のページにはこう書いてあった。
〈私は怪しい者ではありません
どうか、最後まで声を出さず、
取り乱す事なくお読みください
あなたがプロであるならば、
どうか射精するまで続けてください〉
ペニスは反応してる。
我慢汁も先端から溢れ出ている。
この状態で接客を続けろという事だろう。
この人が一体何者なのかはさておき、私はどんな時でも与えられた時間内でお客様を射精管理する立場なのだ。
動揺するな。
顔に出してはならない。
最初に堤さんからそう教わったはずだ。
ハァハァ…と小さく喘ぎながら次のページが捲られた。