蜜と獄 〜甘く壊して〜
第6章 【あなたに壊されたい】
首を振ったのか微笑んだのかよくわからない。
でも下から受けるピストンに頭の芯まで電流がはしったみたいに息をするのも忘れて淫らに身体をくねらせた。
大きな手が背中を支える。
「最高だな、紗衣はいつも」
頭がポーッとしてきた。
繋がってる間は何も考えられなくなる。
目の前にある愛おしい顔……鍛えられた身体……肩から背中一面に広がる刺青。
忘れない……忘れないように目に焼き付ける。
濡れる……上も下も。
激しくピストンしながら泣いてしまうなんて不覚だ。
「紗衣…?どうした?」
好き………私、堤さんが好きだ。
このまま時が止まれば良いなんて、本気で思ったりしました。
あなたに抱かれている瞬間がこんなにも幸せで儚く……尊い。
「ん………泣くほど気持ち良いみたいです」
真っ赤になった目を拭ってくれる優しい指先。
その指も長くて綺麗で好きなの。
ダメ……止め処なく溢れてくる。
「どうしちゃったんだよ、紗衣……俺が動こうか?」
「はい……すみません」
「何で謝るんだよ、鳴かせたいけどそういう泣かせ方はちょっとな…」
ゆっくり寝かされ正常位になった。
堤さんのが挿入ってくる。
どうしよう、涙が止まらない。
「あぁっ……好き…好きです一崇さん……キスして」
手を伸ばして懇願する。
涙を止めるべくキスしてもらった。
この1分1秒を身体と脳に刻み込んでおく為。
どんな体位になっても今日は、いつもより優しく感じます。
優しく丁寧に愛してくださっているような感覚に物足りなくなって私から攻め返した。
「あっ…あっ……イクっ」
「紗衣っ……俺もイクっ」
同時に果てて重なった。
事後の優しいキスも切ない味わい。
目尻に溜まった涙も拭われてたくさんキスして頂きました。
握り締めた手にもキスされてそっとまた唇が重なる。
ギュッと抱いて離さない腕に沈める顔。
向かい合ったままのその中で私が言う事、一言一句聞き逃さないで。
「一崇さん、私、お店辞めますね……卒業します」
「えっ?」
思わず頭を上げてこっちを見た堤さん。
驚いているのも仕方ない。
何も相談せずに決めてしまった事、怒られるだろうか。