蜜と獄 〜甘く壊して〜
第1章 【業界未経験の需要】
ヒールを履いていても見上げるほどの高身長で脚の間に脚を挟まれ腿で疼くアソコを撫でてくるのだ。
さっきまで鳴り響いていた携帯がまたけたたましく鳴り続ける。
舌を噛んで隙きを狙いクラッチバックから携帯を出した。
「もしもし神楽坂です、すみません」
通話し始めた途端、背中のファスナーは全開にされ、ドレスがずり落ちる。
すぐに堤さんの舌が這い、邪魔をしてくるズルい人。
ガーターベルトの下着姿を晒しながら電話しなければならない醜態。
「本当に申し訳難いんですが……ちょっと人混みに酔ってしまって…体調が悪いので後は任せても宜しいでしょうか……はい、すみません」
当たり前のようにホックを外し耳を甘噛みしては「よく出来ました」と乳首を転がすのだ。
「堤さんって本当……悪魔ですね」
「じゃ、いっそ一緒に堕ちるか?」
「ハァハァ……そこまで腹を括れないです……今の私には」
「まだ、神楽坂先生…だもんな」
「ズルい、こんな時にその名前で呼ばないで」
「リリカは仕事の時だけだ、俺の前じゃその名前では呼ばない」
とうとう前に向かされて乳首に舌が這う。
舐め方ひとつで嫌でもわかる。
凄く……女の悦ばせ方を熟知してるって。
これで濡れない女は居ないだろう。
たまに歯を立てて噛む瞬間がイキそうになる。
「やめて……その名前、好きじゃないの」
「じゃ、呼んでやるよ、紗衣…」
全身が疼いた。
その声で呼ぶにはあまりにも妖艶で激しく心を揺さぶられる。
堤さんに呼ばれただけで潤んでしまうのはどうして…?
「俺の女になれ、神楽坂紗衣……」
源氏名であるリリカも……本名も嫌い。
いとも簡単に奪われる唇に抗う事も出来ないで端なく唾液が顎下まで垂れている。
ついさっきまで重く伸し掛かっていた本名が嘘みたいに軽い…?
どうでも良くなった。
本能が理性を越えたのなら。
行き着く場所が決まっているのなら。
貪り食うのはどちら側なの?
「良いか、紗衣……俺に抱かれるってことはもう逃げられないってことだ……骨の髄までしゃぶり尽くしてやるからな」
まるで麻薬のような危険な香り。
ルールを冒してまでこの身体に毒を撒く。