蜜と獄 〜甘く壊して〜
第1章 【業界未経験の需要】
「いや、違うな……俺に早く抱かれたかった…の間違いだろ?」
少し頭の中を整理したかった。
まだ気持ちが追いついてないの。
変化だけが激しくて、心は置き去り。
あなたの腕の中で溺れるよりは、静観していたいだけなのに。
「堤さんは……どうして私なんですか?好かれる理由が見つからなくて本当困るんです、遊びならそろそろ他に当たって頂けませんか?引く手あまたでしょう?」
「俺は紗衣じゃないと無理だ」
「………………」
この会話も何度目かしら。
ちゃんと理由らしき理由を言ってくれないからもうどうしていいかわからない。
わからないまま抱かれてるのもどうなのかなって。
「抱きたいのに理由なんているか?お前が好きなだけだろ、自分のオンナ調教して何が悪い?」
「まだ堤さんのオンナになったつもりはありません」
「え、この期に及んでセフレかよ」
「いえ、マネージャーとキャストの関係です」
「おいおい、俺だけ悪者?」
「全て水に流します、だからもう此処には来ないでください」
ベットの上ではあるが手を添えて土下座した。
鼻で笑う声が聞こえた。
頭を上げない私に為す術がなかったのか頭を掻いて落ち着かない様子だ。
「俺の事そんなに嫌い?」
「尊敬しております」
「好きか、嫌いか」
「………嫌い、なんだと思います」
「フハハ…!嫌いなのに尊敬かよ」
「マネージャーとしての存在感にいつも近くで尊敬の念を抱いておりました……それはこれからも変わらない…変わらない関係性で居たいです」
やっとあげた顔。
真っ赤になった顔見られるのは恥ずかしい。
「お前をNo.1にするって決めて声掛けたんだ、あの頃から変わっちゃいねぇよ……最初は顔出しNGでも返ってそれが武器になるって思うほどお前は仕上がってたんだ、何もかも麗しかったよ」
そんなはずはない……たくさん支えられてやっと2本の脚で立てたようなもの。
まだなの……私が納得するまではこうなっちゃいけない。
「今の私じゃ相応しくありません、返ってマネージャーの評判を悪くする」
「お前は何でいつも自己評価低いんだよ」