蜜と獄 〜甘く壊して〜
第2章 【快楽主義の射精術】
こんな世界があるんだと感銘を受けた。
手取り足取り教えて頂いた堤さんとは出来れば距離を空けていたい。
「あまりキャストに入れ込まない方が良いですよ?威厳がなくなる……それは私が耐えれそうにないので」
「そうだな……バレたら飛ばされるだろうな」
「でしょ?だからもうこんな関係…っ」
どうしてこうも最後まで話聞けないのかしら、この人は。
押さえつけるような噎せ返るほどの熱烈なキス。
「俺が生きていく為にお前が必要になった、それだけだよ、誰にも指図させねぇ」
「オ、オーナーにバレたらどうするんですか!?」
「ちゃんと話せばわかってくれる人だよ、そうなりゃ2人とも別の店に勤務だろうけどな」
「嫌です、それ」
「離れるのが嫌なのか?お前これ以上可愛いこと言うと見境なくなるぞ、俺」
「それってキャスト全員に知れ渡るって事ですよね?他の店に移動したとしても必ず色眼鏡で見られる……自分の実力ですら認めてもらえなくなる、もしも堤さんの女だって思われたら私それを払拭する力がまだ身に付いてない!」
「おい、怒るなよ」
「嫌なんです!もう色眼鏡で見られるのはたくさん!誰も私を見てない、父の名前だけが独り歩きしてずっとそのお溢れだった」
「わかった、わかったから落ち着け……」
優しく抱き寄せてくれる腕の中で小刻みに震えてしまっていた。
「お願い……私はリリカとしてまだ堤さんに恩返し出来てないの……トップに立つまではキャストとして扱ってください」
「お前っ……それ………マジかよ」
頭を抱える堤さんに偉そうにトップに降臨する宣言しちゃった。
我ながら無謀な闘いの始まりだ。
「それって……お前抱けないってこと?」
「………愚問です」
「マージーかぁー!!」
No.1宣言……早くも前途多難。
この脳内年中発情期なイケオジを先に攻略しなければならないなんて。