蜜と獄 〜甘く壊して〜
第3章 【秘密裏な罠と罰】
「あぁっ…はぁっ……あ、出るっ…!」
「んふふ、わぁ……凄い出てる」
「ハァハァ……ありがとう、リリカちゃん……気持ち良かった」
「うん、残りの時間イチャイチャしよっか」
相変わらず予約は埋まっている。
有り難いことに新規客は次の指名に繋げられていた。
こちらは順風満帆…といった具合だったが。
「バカヤロウ!言われた事も出来ねぇのか!もういい!下がってろ!」
控え室にまで聞こえてくる怒鳴り声。
理不尽極まりない八つ当たりにも聞こえる。
「すみませんでした」と謝るボーイさんも納得がいってない様子。
他のキャストもそうだけど、指揮が下がるのでこういうのはやめて頂きたい。
怒号をあげていたのは他の誰でもない堤さんだ。
勿論、お客様には聞こえてはいないが。
流石にマズイかな…とわざとお手洗いに行く素振りを見せる。
ドアを勢いよく閉めて出て来た堤さんとバッチリ目が合った。
うわ、凄い剣幕……話し掛けられる状態じゃないのだけはわかる。
すぐに目を逸らされ舌打ちして去って行かれた。
あの朝話してからは一度も関係はなく、キャストとの距離感を保ってくれている。
もしそのせいであの様だとしたら異議ありだけども。
堤さんって仕事はデキる男だけど、そっち方面は中高生と変わらない気がする。
私の思い過ごしであれば良いのだけど。
さっき出て来た部屋の扉がちゃんと閉まってなかったのでふと、中を覗いてしまった。
怒られていたボーイさんは余程悔しかったのか、壁を拳で殴ったのだ。
ボコッと凄い音がして咄嗟に入ってしまった。
「えっ?リリカさん!?」
「バカ、何してるの?血が出てるじゃない」
急いで救急箱を持って来て止血し手当した。
「すみません……」
「自分を責めないで……骨は折れてないと思うけどしばらく重い物は持たないで」
包帯を巻きながらチラリと目が合うと俯いてしまった。
名札を見て身体の関係はまだない子だ、と確認する。
「あ、ありがとうございます」