蜜と獄 〜甘く壊して〜
第3章 【秘密裏な罠と罰】
ハッと我に返り招き入れる。
早くシャワー浴びさせなきゃ風邪ひいちゃう。
タオルを持って来ようとした私を抱き締めるから服に染み込んだ水滴がこちらを侵食していく。
「紗衣………充電させてくれ」
頭上から零れた言葉に胸がグラついた。
「すまん……約束果たせそうにない」
そんな弱音吐かないで。
「あの、とりあえずシャワー浴びてください、風邪ひい…」
着てる服にまで染み込んできたので本当は寒い。
あ……ダメだ、距離取らなきゃって警戒レベル上げたのに簡単に唇奪ってくるんですね。
冷たかった唇が次第に熱く体温を戻していく。
終わらないんじゃ…と思えるほどの長いキスだった。
腰が砕けそう……力が入らなくなる。
自らネクタイを外し「一緒に入ろう」と手を引く。
そうね、間取りも配置も全部覚えてるわよね。
だからわざと濡れたまま抱き締めて来たのもあざとくて好き。
待って……これじゃまた戻っちゃう。
抱き締めないで。
私を脱がさないでよ。
先に脱ぐのはそっちでしょう?
オーダーメイドのスーツはハンガーに掛け静止乾燥機に入れた。
これでクリーニングしたように仕上がるし消臭、ウィルス除去もバッチリだ。
「すげぇ、何でも揃ってんだな」
「とにかく温まってください」と浴室に連れて行く。
シャワー温度を調節し、背を向けた堤さんの左肩からお湯をかける。
久しぶりに見た龍の刺青。
つい、指先で触れてしまいそうになる。
そしたら頬擦りしたくなるからグッと堪えるのに必死だ。
ていうか、何してるんだろう?私は。
普通にキスも受け入れているし今だってお互い裸でシャワーを浴びてる。
こっち向かれたら目のやり場に困るほど鍛え上げられた筋肉美が。
心の準備もままならないまま振り向かれてしまった。
どうしよう………下向いても堤さんの大きなアレがあるもん。
横目でチラチラと逃げながら温めていく。
そしたらシャワーヘッドを握られ思わず視線が重なった。
優しい瞳に呆気なく射抜かれて今度は私が堤さんに背を向けさせられた。
ゴツゴツと大きな手が身体のラインをなぞる。