蜜と獄 〜甘く壊して〜
第5章 【絶頂地獄の成れの果て】
「あっ…!うわ、出る…!あ、出る出る!」
全身痙攣して吐き出す体液は手のひらで受け止める。
ドクドク波打ちながら大量に射精した。
両手で顔を覆い放心状態だろうか。
手で受け止めた精液を見せてあげた。
「うわ、めっちゃ出てるし」と項垂れている。
ティッシュで拭きながら、いつもの行為なのに思わず感極まってしまった。
何も言わずに抱き締めて鼻を啜る。
接客中に泣いたのは初めてだ。
安堵したのだ。
そこにどんな理由があろうとも同じ悦びを噛み締めたの。
「え、リリカちゃんが何で泣くの」
ヤバい……仮面の内側ぐちゃぐちゃ。
笑って誤魔化すのも下手くそだ。
「あ〜仮面外してぇ……本当の顔見たい……でも違反行為だから出来ねぇ……それズルいよリリカちゃん」
「ごめんね、嬉しくてつい…」
「嬉しいって?射精させた事?」
「うん……ちゃんと解放出来た事」
「うん……ありがとう、今までで一番、リリカちゃんのが気持ち良かった……ていうか気持ちこもってて嬉しかった」
ティッシュを持って再び抱き締める。
「ごめん、良いよって言うまで私から離れないで……仮面取りたい」
「えっ…!?」
「絶対見られたくないから涙拭くまでギュッてしてて」
「え、して良いの?」
「うん……お願い」
「わかった…」
私は初めてお客様の前で仮面を外し涙を拭き取った。
鼻を啜りながらまた着ける。
その間、素直にギュッと抱き締めてくれていたお客様にお礼を言って離れる。
「残りの時間、抱き合っていたい」
最近はこのようなご要望が多い。
新規のお客様にまでお願いされちゃった。
でも彼はソファーでではなくベットでの添い寝希望だ。
極力ご希望には添えたい気持ちが高い私はこの類いは快諾する。
腕枕されて身を寄せ合い、時間まで他愛もない会話を楽しむ。
イチャイチャタイムなのだ。
中にはそれをメインで指名してくるお客様も居る。
「俺、また指名しちゃうかも」
帰り際、恥ずかしそうにそう言ってくれた。
名刺を渡そうとしたら
「何回通い詰めたら直の連絡先教えてもらえる?」とも。