蜜と獄 〜甘く壊して〜
第5章 【絶頂地獄の成れの果て】
(泣いてないよな?抱き締めに行けねぇから泣くなよ……おやすみ、また明日)
今日最後に届いたメッセージ。
言葉のひとつひとつが胸をえぐる。
必死に張り詰めていたモノが溢れ出てしまった。
情けない。
相変わらず詮索してくるお客様も絶えず居たが、お店側も火消しに尽力して頂いて何とか以前と同様に接客出来るようになってきた。
陰口をたたくキャストは未だチラホラ居るけど相手にはしていない。
指名も売り上げも私に勝ててから言えばいい。
そしたらその時に初めて耳を傾けてあげるし「おめでとう」って言ってあげる。
やっと肩の荷が下りるだろうから早く抜いてくださいね。
「お疲れ様でした」とすれ違えば笑顔を向けるのにシカトは頂けないですね。
こちらとしては意地でもこの姿勢崩しませんけども。
他のスタッフや堤さん、オーナーにも今まで通りの顧客体制、態度で貫いてくださるようお願いしている。
No.1だからといって持て囃すのだけは断固拒否した。
いずれ、世代は交代する。
いつかは退く日が来るのだ。
そう遠くない未来に。
決断の時は迫ってる。
そんな気がしていた。