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分け合う体温

第2章 隠れてキス

「あのさ。こんな時に、言うのもなんだけど……」

私は、鼻をすすった。

「そんな、辛い恋なんて止めろよ。」

英吾が、私の肩を抱き寄せた。

「俺に、しとけって。」

私は、英吾の方を向いた。

「英吾?」

「俺、前から由乃の事、好きだったんだ。好きな女の泣き顔なんて、見たくないよ。なっ。俺だったら、由乃を泣かせない。辛い恋なんてさせないよ。いつも笑顔にさせるから。」


理人との事がなかったら、私は英吾の事を受け入れたと思う。


「有難う。」

「由乃……」

「でも今は、英吾と付き合えない。」

英吾は、黙って私の言葉を、受け止めてくれた。

「それは、その……不倫相手を……」

「不倫じゃないんだ。」

「じゃあ、何?好きになっちゃいけない奴って、他にいるの?」

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