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ヌードモデルを温めて

第1章 ヌードモデルの疑問


久しぶりのアトリエだった。

淡々と色鉛筆を走らせる初老の画家と全裸の私。

ほどよい距離に置かれたストーブ。

事務所を通してではなく、
ふらりと訪れた画廊で偶然スカウトされ、
なんとなくヌード経験者であることを言い出せないまま、このアトリエに来たのは初秋だった。

画家の目の前で服を脱ぐという、プロのモデルなら絶対しないことを指示されても、素人の初ヌードと偽っている以上は断れず、
エロ小説みたいに、服を外し、下着を取り去っていったのだった。

セミプロのモデルであることがバレたあと、罰として四つん這いのポーズにされた。もちろん、全裸で。

確かにあの形は、ものすごく恥ずかしく感じることがある。
あのときはどうだっただろうか、よく覚えていない。

ただ、あのときも今日と同じストーブが点いていた。
裸でもそこまで寒くはなかったが、ヌードモデルを迎えるときの常識と言わんばかりに点火されていた。

だけど、今はもう初冬。今日のストーブは必需品だった。

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