テキストサイズ

ヌードモデルを温めて

第1章 ヌードモデルの疑問

「ちょっと不思議ですね」

私は口を開いた。

画家にも色々いて、モデルを軽妙なおしゃべりでノセていく人もいれば、

終始無言でキャンバスに集中する人もいる。裸婦は静物と同じで描く対象にすぎないらしい。

今日の画家は、ある程度の会話が成り立った。

「服を脱がせておきながら、ストーブを焚くなんて、なんか矛盾してるみたい」

舌足らずというか、分かりにくい発言だと自分でも思ったけど、

そもそも防寒のために人間という動物は服を着ているのに、わざわざ全て脱がせておいて、かわりにストーブで温めるというのが本末転倒みたいで不思議──そう言いたかった。

「そうまでしても、あなたの美しい裸が見たいからですよ」

うわぁ、ストレート。でも、嬉しいかも。

「そんなに見たいですか」
「うん、見たいね」

なら、もっと見て。

私は目を閉じた。

私は裸だ。
何も隠してない。
美しい裸なんだそうだ。

正対しているから、恥毛までさらしているのに、それも美しいのかな?

ストーリーメニュー

TOPTOPへ