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イラクサの棘

第23章 秘事2

雅紀side


「雅紀、彼女とか恋人とかホントに
いねえのか?おまえこんな料理男子で
イケメンなら、モテるだろ?」



山芋の皿を差し出す手は震えてたと思う。

精一杯のつくり笑顔で
ぜんぜんモテませーーん!って
笑い飛ばしながら
なるべく無邪気を装って
智兄のグラスに酒を注いでいく。


自宅呑みっていう安心感からかな
智兄はかなりのピッチで飲み進めてる。



「ましゃきぃー呑んでねぇーーらろぅー」


まだ大丈夫かな?
呂律が回らなくなるほどじゃないみたい。
今日も朝からずっと携帯を気にしてて
何度かかけ直しても意中の相手には
やっぱり繋がらないみたいだ。

  
「智兄、そろそろやめとかないと。
飲み過ぎだよ?」

「うるへぇーー
くそぉーー
なんれぇぇえ
つながんねぇーんんらぁぁぁぁ」


ビール、ワインからはじまって焼酎
いま注いでるのは日本酒。
智兄とサシ呑みをするのは好きだけど、
今日の智兄はまるで心ここに在らずって状態。


「智兄?
誰と繋がらないの??」

「じゅんらぁぁ
じゅーーーーんンンンン」 



…やっぱりそうなんだ

松本潤



智兄が密かに思い続けてる元恋人

心の奥底にずっと居続ける存在。




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