テキストサイズ

刑事とJK

第53章 さよなら



ピンポーン




インターホンが鳴った




『…誰よ…朝から…』



ゆうひはベッドから起き上がって

扉を開けた







「おはよ」





『…斉藤』






「寝起きか?
頭ボッサボサ」




『っ…』



斉藤が指差してきたことに



ゆうひはイライラしながら自分の髪を押さえ付けた





「…今日…行く」




『…』




「…いつか会えっから」




『…』





「…
ありがとう」














キスも

抱きしめることも



触れることさえもせずに







ただそれだけ伝えて




斉藤は背中を向けた

















…熱い






心臓が

握り潰されそう
















顔が

歪んでる
















視界が

ぼやける
















あんたの背中が








小さくなっていく…



















『嫌だああああああああー!!!!!』





背中に


ドン


という衝撃






自分の胴体にしがみつく


ゆうひの腕





その手は、服を掴んで離そうとはしない







『行かないで…行かないで行かないで行かないで!!!

あたしをひとりにしないでぇ…!!』




「……」





『斉藤ぉ、お願い…
お願いだから…
1番大好きだから…

ずっとそばにいてよぉ…』





「……」






『叩いちゃって、ごめんな…さい


謝るから…行かないで…


謝るから…嫌いにならないでぇ…!!』





「バ…カヤロ…!!」






抱きしめた






力いっぱい






抱きしめた










いい子にさせるためとか




そんなんじゃねぇ…











オレはそんなつもりで



お前を抱きしめたことなんか




ただの一度もねぇ









お前が泣くから…



お前が愛しいから…








お前が…











ストーリーメニュー

TOPTOPへ