刑事とJK
第57章 夢
『小犬…』
「追いかけんな
あの犬は、おめぇが知ってた犬とは別もんだ」
『……』
姿形は、そっくりだった
あたしの友達だった小犬と、ほんとに似ていた
だから
この手の痛みは、まるであの"小犬"に噛まれてしまった気分 …
『…』
涙が溢れた
しかし、泣くのは必死にこらえた
そう、小犬は一年ほど前に、死んでるのだ
『…ごめん』
「いや…」
ゆうひと斉藤は
またベンチに戻った
―――――――――――
ゆうひはそれから、斉藤と会わない日でも
公園に出向いた
あの犬に会うために
『今日もいないか…』
「…あの犬がか?」
『…うん』
「……」
こればっかりは、斉藤もどうしてやることも出来ない
「あの犬見つけたら、どうするつもりだ?」
『…わかんない』
でもあたしは、小犬に
謝りたい…
あの時、守れなくって
ごめん
って…
その日も、もう帰ろうとしたときだった
ゆうひはふと、小犬のお墓に向かった
…ここ最近はお墓参りしてやれてないからなー…
斉藤もゆうひの後に続いた
ぶらんこを越えて
その後ろにある茂みに入る
と
『!!?
小犬!!!』
「え」
小犬の墓の前で、あの犬が倒れていた
ゆうひは慌てて駆け寄った