刑事とJK
第57章 夢
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施設内を案内され、しばらくした時だった
「…そろそろ遊びの時間ですね、一緒にどうですか?」
『?』
女性の後をついていくと、広い庭に出た
女性はそこで、5、6匹の犬を放した
犬たちは楽しそうに駆け回る
『遊びの時間って、何するんですか?』
「あの子たちは、もともと飼い主に捨てられてたの。
人間に対する恐怖心を取っ払うために
ここで犬たちと触れ合うのよ」
『へ~///』
走り回る犬たちは、どいつもこいつも生き生きとしていて
自分まで走り出したくなってしまう
「また人と仲良くなれたら、しつけをして
人の役に立つような犬に育てるの。
実際、もうたくさんの子たちがここから世の中に出てるわ」
そう言って、女性は小さい笛のような物を吹いた
すると犬たちが集まってきた
「おすわり」
その声で、犬たちは上げていた腰を下ろす
「ふせ」
次に犬たちは地面に体を伏せる
「ジャンプ!!」
一斉に高く跳んだ
「よしよし!!
いい子たちだねー!!」
そうして女性が手を広げると、犬たちは女性に駆け寄って体を擦り付けた
褒められていることを、ちゃんと理解しているんだ
『ご褒美におやつをあげないんですか?』
ゆうひが聞くと、女性は犬を撫でながら答えた
「おやつ欲しさで動くような子にしたくないですね。
人とちゃんとした信頼関係を築くには、ただ褒めているのがいいと私は思います」
『…すごい』
おやつなしでの
犬と人との信頼関係…
ふと小犬が頭に浮かんだ
あの子は…
あの子から、あたしに触れてきてくれたんだよね…
全部どうでもよくなったあたしを
助けてくれたんだよね
自然と、涙が浮かんだ