刑事とJK
第59章 4つの事件
ゆうひが走って向かった場所
それは刑事科だった
思い切り扉を開け、中に飛び込んだ
『ハァ…ハァ…っ…ハァ…』
息を切らして、顔を上げた
「ゆうひ…」
『…斉藤!!』
目の前には斉藤がいた
いてもたってもいられずに
ゆうひは斉藤に抱き着いた
「ど、どうしたんだよ急に…!?こんな夜遅くに…」
『ふぇええぇ~ん、斉藤ぉおぉ』
ゆうひは斉藤の胸で泣き崩れた
理由はわからないが、とりあえず斉藤は背中をさすってやった
『怖かったよぉ…怖かっ…うぐっ』
「何があったんだよ…?」
『ふぅうっ…ひっく…ひっく』
「はぁ…」
斉藤はゆうひを仕事部屋に連れていった
椅子に座らせて、とりあえず泣き止むのを待った
『…』
だいぶ落ち着いてきたようだ
見計らって、もう一度聞き直した
「何が、あったんだよ?」
『…玄関の扉を叩く音がして…―――』
ゆうひは話した
男が入ってきたこと
包丁を振ってしまったこと
追いかけられたこと
無我夢中で走ったこと…
『…でも、斉藤に会えて、よかったぁ…』
またゆうひの目に涙が浮かんだ
斉藤はゆうひの手を握る
その表情は、悲しげでつらそうだった
「…そばにいてやれてなくて…ごめんな…」
『っ、斉藤が謝ることじゃ…』
「怖かったよなぁ…」
『…』
斉藤の感じた嫌な予感とは、このことだったのだろうか…?
それとも、まだ何か…