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刑事とJK

第59章 4つの事件


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『ハァ…ハァ…』



無我夢中で走った



後ろから追ってくる、人という名の悪魔から逃げるために…




『斉藤…ハァ…っ斉藤ぉ…』



靴は履いていない


履いている余裕などなかった



ペタペタとコンクリートの上を走ると、ひんやりとする




『斉藤…助けてよ…』




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ドクン ドクン と、心臓が鳴る


ゆうひは包丁を背中に隠し、ゆっくり扉を開けようとした




『…』




少し開くと、すかさず扉の間に指が入ってきた



『!!!』



扉は一気に開けられてしまい、一人の男が押しかけてきた


男は否応なしにゆうひの腕を掴んだ




『いやああぁー!!!』



とっさに、持っていた包丁を振った



「いづっ!!」



男の手の甲が薄く切れてしまった



しかしゆうひは、そんなことはそっちのけで
包丁を投げ捨て、
怯んだ男を押し退けて、一気に階段を駆け降りて行った




「待てこら!!」



後ろからは男の足音と声が聞こえた



その音はどこまでもどこまでも追いかけてくる





『…っ…』






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いつの間にか、その音は聞こえなくなっていた



それでもゆうひは走り続けた





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