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クリスマスイブ

第4章 クリストキント

クリストキントと別れた僕は支部に戻る。
今回の仕事の結果を報告するためだ。

「柊一、サンタクロースの仕事、どうだった?」

「まあまあですかね。とてもやりがいは感じますけど。」

「まあまあか。」

サンタ支部長は笑う。

「来年も頼むな。」

僕は頭を下げて帰ろうとした。
そこではたと足を止める。

「そうだ、支部長。僕がサンタクロースになったのはなぜですか?」

僕は真っ直ぐ見つめて聞く。

「何か意味があると思うんです。誰でもなれるような仕事じゃない。僕がなったのにも何か意味があるんでしょう?教えて下さい。」

支部長は優しい瞳で僕を見つめて口を開いた。

「君はクリストキントに会ったと言っていたね。」

「え?はあ。」

「そういうことだよ。クリストキントは天使だ。天使は純粋な正しい心を持つものにしか見えない。もちろんサンタクロースもだ。」

僕はクリストキントの言葉を思い返す。

“正しい心でとても純粋だった”

「…」

「クリストキントもサンタクロースも子供の想像の賜物だ。子供に見えて大人に見えないもの。稀に想像力が豊かな大人がいる。そういう人がサンタクロースになる素質を持つものだ。」

「僕に…務まるでしょうか?」

支部長はにっこり笑う。

「君はクリストキントにも言われたんだろう?素質があるって。彼女は天使だ。私以上に厳しく評価するし、人を見る目がある。何せ神の使いだからな。そのクリストキントに認められたんだ。もっと自信を持ちなさい。」

僕は頭を下げ、サンタ服を支部に返し、支部を出る。
来年のクリスマスまでさよならだ。

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