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トライアングルパートナー

第1章 二人

 同年6月、管理職であった彼女は、課長から部長に昇進した。彼女は仕事にすべての能力を発揮し、奮闘する。進一も触発されるが、仕事では彼女にはかなわない。だから、別のことで奮起する。彼女が楽しみにする秘密の行為に磨きを掛けようと、彼は知恵を絞る。
 彼女は帰宅こそ遅くなったが、たまに早く帰る。役所での重要案件が一段落したときだ。こういう日は朝から彼女には落ち着きがなくなる。朝、家を出るときから、彼を見る目も幾分潤んでいた。
 定時で帰宅した彼女は、夕食の食卓に彼と二人で向かい合う。食事が済む頃、彼女が食べていた箸をテーブルにそっと置いた。
「ねえ、夕食、一緒に食べるの、久しぶりだったね。ねえ? いいでしょ?」
 食卓に向かい合って座る彼女は、つま先を伸ばして彼の足の甲に片足を重ねる。
「どう? いいでしょ?」
 進一は乗せられた足の上に反対の足をさらに重ねる。彼女が、いいの? と目で合図を送ってくるのが分かる。彼は純子に顔を向けうなずく。彼女の顔が彼の顔に近づいてくる。そのまま、二人はキスをした。純子がさらにご機嫌になる。
「ふふ…… 寝室に行く? いっぱい、気持ちよくさせて上げるね」
 純子の言葉で、進一の心臓が急激に速くなった。純子は何かの案件が終わったときはいつだって同じだ。早く帰ってこれるところをみると、分かる。いつになく満面の笑顔である。彼女は仕事が楽しいが、これからすることはもっと楽しいみたいだ。
 ベッドの上で、彼女はいつものように、頬を進一の胸に乗せながら進一の顔を見つめる。潤んだ目で見つめながら手のひらで進一の分身に乗せる。純子の熟知した手の動きで進一は気持ちがすぐに高まっていく。彼女は進一のゆがんだ顔を見ることで、幸せを感じる。
「進ちゃんって、もう感じちゃってるのね。ほんと、エッチな体ねぇ」
 顔をゆがめた進一は答えることができず、首だけ上下に動かす。その進一の動きを見て、彼女は自分のことのように満足する。
「ぜんぜん、変わらないのねぇー」
 彼女は進一に顔を寄せてきて耳元で言う。

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