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トライアングルパートナー

第26章 慶子の上京

 京大生、特にサークルに所属の学生の何人かは今田純子を崇拝するあまり、卒業後はK区役所に入所したい、というものが多い。もちろん、採用試験で優秀な成績を取れれば別だが、特別にコネ制度を作っていた。このサークルで優秀な人材を一名だけ、厳選のうえ推薦により入所させる。つまり、大学推薦採用枠を設けた。夜の人格・今田潤子は学校関係者とも親密な関係を築いていた。
 昼の人格・今田純子と夜の人格・今田潤子はk区役所の高橋源三郎という人事部長と親密な関係を構築し継続させてきた。
 高橋人事部長は今田純子のすべてを知りたくて、純子が役所に採用される以前、大和田順子の時から他人から見ればストーカーのように見張っていた。
 純子は高橋に転倒を助けられた表彰式から、生きていく上で必要な食材として高橋を記憶していた。自分のことを覚えているとは思わない高橋は、将来、純子がどんな女性になるか興味があっただけで、純子の卓越した才能を伸ばすために手助けしたい、と思っていた。
 ところが、高橋は京大の採用試験会場で、夜の人格・潤子と偶然の再会から高橋の目標が狂わされていく。
 今田純子という女は、これはと思う人材を見極めると、自分の美貌を武器にし味方につける性技に長けていた。その性技を施されたものは瞬時に快感を与えられ言いなりになった。彼女から快感を与えられることで、潤子の妖艶な魅力に引き込まれていった。今田潤子には得体の知れない深い愛で満ちていた。人はその愛に取り込まれたくなり、官能はそれをより知るための増幅剤だった。脳と体、心と官能はバランスを取りながら精力を高め幸福を感じた。
 高橋の冷静沈着な精神は夜の人格・潤子の愛により破壊された。夜の人格・潤子崇拝者になっていたことを認識できない高橋は、魅力的な女性に出会えた幸福を心から喜んだ。好きな女性に巡り会えたことで彼は幸せだった。
 しかし、数年後、高橋は純子が他の男と交際している姿を見守った。やがて、彼女が今田進一という男と結婚した。その後、高橋は彼女の動向と、さらに夫の行動も監視するようになった。

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