トライアングルパートナー
第27章 大和田純子と高橋源三郎
「大和田さんっていたでしょ? 毎年受賞して、絵が好きなんですね?」
すると、木下は得意そうな顔で右手を口の前に持ってくると、左右に小さく振った。
「きみもこの仕事続けると分かるけど、彼女、天童と呼ばれてるんだよ。K区では結構な有名人かな」
木下の言葉に納得した。あれだけの美人だから注目度も高いのだろう。
「それと絵だけではないから…… 彼女、合唱部員でもあり、高校の合唱部では全国優勝したり、歌も上手でね、のど自慢大会に出て優勝したりしているスーパーウーマンだよ」
高橋は純子という女学生に興味を持ってしまった。このときは純粋に天童と呼ばれる美人に興味を持っていた。恋愛感情は一切ないと高橋は確信していた。
しかし、高校3年生の純子は表彰を受けながら脇に立つ高橋を盗み見ていた。
「あの人…… どこかで見たような……」
純子は区長のそばに立つ高橋を見て思った。区長から賞状を受け取った。賞状をもらって後ろに下がるとき、バランスを崩して前のめりに倒れそうになった。突然、誰かに体を後ろから抱きしめられていた。顔を向けると、さっき盗み見ていた職員だった。
「間に合ったぁー」
純子の耳元で男が安堵の声を上げた。純子は心臓の鼓動が速くなった。父以外の男に抱きしめられた。純子には初めての感覚だった。
「大和田さんでもなれているようで緊張するのかな? 高橋くん、今までで一番、いいホローだったよ」
大松区長が笑いながら冗談を飛ばした。会場の参列者も笑いながら「良かった、良かった」などとつぶやきながら拍手をした。純子は顔を真っ赤にして目が回りそうなくらい恥ずかしい。高橋に対しうれしくて喜びたい気持ちで一杯なのに、気持ちとは反対に、高橋の顔をにらみつけていた。純子の顔を見た高橋はバツが悪そうに純子を支えていた両手をはずした。純子は高橋の態度を見て、大人げない自分の愚行を悔やんだ。
すると、木下は得意そうな顔で右手を口の前に持ってくると、左右に小さく振った。
「きみもこの仕事続けると分かるけど、彼女、天童と呼ばれてるんだよ。K区では結構な有名人かな」
木下の言葉に納得した。あれだけの美人だから注目度も高いのだろう。
「それと絵だけではないから…… 彼女、合唱部員でもあり、高校の合唱部では全国優勝したり、歌も上手でね、のど自慢大会に出て優勝したりしているスーパーウーマンだよ」
高橋は純子という女学生に興味を持ってしまった。このときは純粋に天童と呼ばれる美人に興味を持っていた。恋愛感情は一切ないと高橋は確信していた。
しかし、高校3年生の純子は表彰を受けながら脇に立つ高橋を盗み見ていた。
「あの人…… どこかで見たような……」
純子は区長のそばに立つ高橋を見て思った。区長から賞状を受け取った。賞状をもらって後ろに下がるとき、バランスを崩して前のめりに倒れそうになった。突然、誰かに体を後ろから抱きしめられていた。顔を向けると、さっき盗み見ていた職員だった。
「間に合ったぁー」
純子の耳元で男が安堵の声を上げた。純子は心臓の鼓動が速くなった。父以外の男に抱きしめられた。純子には初めての感覚だった。
「大和田さんでもなれているようで緊張するのかな? 高橋くん、今までで一番、いいホローだったよ」
大松区長が笑いながら冗談を飛ばした。会場の参列者も笑いながら「良かった、良かった」などとつぶやきながら拍手をした。純子は顔を真っ赤にして目が回りそうなくらい恥ずかしい。高橋に対しうれしくて喜びたい気持ちで一杯なのに、気持ちとは反対に、高橋の顔をにらみつけていた。純子の顔を見た高橋はバツが悪そうに純子を支えていた両手をはずした。純子は高橋の態度を見て、大人げない自分の愚行を悔やんだ。