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トライアングルパートナー

第33章 神の再生

 天界の神殿でエロMエッサイ無がイライラしながら右へ行ったり左へ行ったり落ち着きなく部屋の中を歩いて回っている。何往復目かになったとき、エロMエッサイ無の動きが遅くなった。彼の体が透け始めた。
 彼は繰り出す足の先が薄くなっていることを視認した。
「まずいぞ、これはまずいぞぉーーーー」
 人間が神の存在を忘れ始めていた。人間が作った偶像がエロMエッサイ無だった。
「もう、人間は神だのみをしないぃー」
 エロMエッサイ無はすべてを言い終わらないうちに姿は完全に消えた。
 西暦2023年11月30日、新しい神・今田純子がk区役所に誕生した。
 しかし、だれもその地位を獲得したことを知らない。もともと、地球に神など存在していなかった。エロMエッサイ無は佐々木慎之介が作り出した虚像だった。彼はただ単に工学知識に秀でていただけで、自分の意思でスマホとゲーム「リアル・ラブ・ゲーム」を作った。恋のキューピッドなど慎之介の描いた幻想だ。
 彼の考えた原理はノーベル賞級のアイデアだった。瞬時にスマホから繰り出される周波数によって催眠効果を対象者に与えられた。アルファー波がリラックス効果を与えただけであったが、心が開放され交流しやすくなったというだけのこと。
 そんなアイテムが効果を与えることが出来たら世界は確実に平和になるだろう。いじめだって、貧困だって、減っていくだろう。人間社会はそんな単純ではない。愛憎がうごめく世界に人間は生きている。
 今田純子は日夜世界を愛で満たすため、公務に励んでいる。

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