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トライアングルパートナー

第7章 小山内慶子

「ふーん、そう来ましたか? 係長は直属の上司ですから特別にもっとそばで、あたしのすべてを見せてあげてもいいです。特別拝観料は食堂のランチ券でいいですぅ。そしたら、サービスで、一緒にランチをしてあげてもいいかな? 係長、いつも一人で食べてるでしょ? おじさんって…… あたし、好きかもぉー もちろん、先に言いますが、援交とかではないです」
 そう言った彼女のほおがわずかにピンク色になったように見えた。
「まいったなぁー ああ言えば、こう言う。きみにはまいったなぁー ねえ、きみって、役所にどうして入ったの? 接客業、いや風俗業のほうが向いてない?」
「あらぁー 係長さんこそ、変なこと、おっしゃってくれちゃってますよねぇー こんなエッチな会話は係長が初めてです。あたしの家って真面目なんです。父の意向でいろいとな方とデートしてるんです。係長さんがあたしの相手をしてくれるなら、他の方はお断りしますが……」
 進一にとって慶子のような女は、まるで新人類を見ているようだった。それに、こんな会話を若い女の子と、よりによって、こんな執務室でして、係員がどう思ってるだろう。進一は不安になって、そばの係員3人を見た。みんな机に向かって何事もないように仕事をしている。聞いていて聞いていないそぶりでもしているのだろうか? と、進一は思って、ベテラン職員の清水に声を掛けた。
「ねえ、清水さん、今までの会話を聞いていましたよね、この子、どう思いますか?」
 下を向いていた清水が顔を上げて言った。
「係長、新人のご指導、ご足労さまです…… 何かお尋ねでしょうか?」
 清水は進一より5歳下のベテラン職員である。
「それで、僕たちの今までの会話をどう思いますか?」

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