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トライアングルパートナー

第10章 転落から悟りへ

 つまり、荒廃がすすむ世界になってしまった。荒廃のすすむ世界を認めようとしないものがいる。富むものの多くが、見ないように目を背ける。なぜなら、荒廃する世界に手を染めているからだ。
 人類の発展、躍進は、これからの若者の愛の行方に掛かっていると言ってもいい。愛することは人の心を豊かにする。まずは、己を愛し、そして、自分の幸福で隣人を愛で包む。繁栄は隣人との愛を生み、幸福で包まれる。野生の愛を生む。知性とか、理性とか、を超越し、本能のままに行動する。そういう愛だ。本能のままの愛。
 それを現実にすることが使命である、と悟った8ピッドは、新しい神器であるリア・ラブゲームの開発を始めた。このゲームを使って、愛の原子を地球上に拡散させ、愛を放出するのだ。
 ゲームのプログラムは手にした人類が自ら作る。手にした人類の経験値に応じて、プログラムは作られる。本能の愛の芽がゆっくり育まれていく。どんな愛がふさわしいのか、人類の本能の愛に神器は働き掛ける。人間が潜在的に持つ恐怖、理性、知性、感性、あらゆる障害を消し去り、本性のままに行動を促すアイテムが、リア・ラブゲームアプリ登載スマホ「ヒトメボレ」という装置である。

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 店内をハンディモップで掃除していた佐々木慎之介は、握っていたハンディーモップを放り出し、速攻、床に額を勢いよくひれ伏したので床におでこが当たった。彼はエロMエッサイ無への忠誠を示すため、ひれ伏す動作を繰り返した。ゴキン、コチン、ゴチン、ゴキン、鈍い音が店内に響いた。
「はぁはぁー エロMエッサイ無さまーー なにとぞ今後の働きを見守りくださいませぇー 必ずやご期待に答えるべく粉骨砕身、消滅から助けていただいたこの身をエロMエッサイ無さまに差し上げる覚悟であります。愛を人間界にまん延させ、愛であふれるよう働いておりますーー慎之助、一生懸命にがんばってますーー」

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