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トライアングルパートナー

第12章 ゲームの対戦相手

「ふーーん、あんたはラブ・ゲームの開発をしても、ゲーム内容は神のみぞ知る、って、事なわけね? つまり、いろいろのパターンがあるって事なのね? それはあんたの部屋に行ってからのお楽しみってことなわけね」
 慶子はますます腹が立ってきた。プログラムを作った慎之助が、プログラムがどんなプログラムを作るか知らない、というのだ。そんなことがありえるのだろうか。AI(人工愛情)登載スマホがそこまで進化しているのか。
「ねえ、あんたの開発したヒトメボレっていうスマホだけどさ、AI登載ってさ、人工知能が搭載されたスマホって言うことだけどさ、プログラムとか作ってくれるわけ?」
 慎之助は改めて取扱説明書をテーブルの上に置いた。
「ヒトメボレの機能欄のこれね?」
 慎之助は取扱説明書を広げて、慶子の言う「AI登載」という表記を人差し指でさして聞いた。慶子は首を縦に振って慎之助を見た。
「愛のことね? アルファベットで表記したけど分かりにくかったかな」
「どういうこと? あいって、何?」
「愛はあいさ、つまりラブってこと」
 慶子は口を開けて首をかしげた。
「あんたさ、あたしをなめてるの?」
「いいえ、まだ…… なめさしてくれるの?」
 慎之助は慶子の体をじっくりと見つめている。慶子はとっさに両腕で胸を隠した。こいつ、変、何言ってるか分からない。慶子はそう思ったら、段々、この店の雰囲気が変かな、と思い始めた。スマホ1種類しか売っていない店って、どういうこと? 慶子は初めて店内に入って思った印象を今になって思い出した。変な男と変なゲーム店、変づくしのオンパレードであると気が付いてくると、変なところに迷い込んでしまったことに緊張してきた。慶子は慎之助の顔を改めて見つめた。にこにこ顔の超イケメンだ。ゲーム店員よりホストが似合いそうだ。おまけに、よく見ると、均整の取れた体つき。

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