トライアングルパートナー
第14章 三人の会食
今田進一、小山内慶子、今田純子が三角形に配置した机に一人ずつ座っている。三人はこれから慶子の作った手弁当に箸を付けるところである。慶子が純子を見つめている。純子もまた、見られていることを意識していた。慶子は今、純子を間近に見ることができ、感激に浸っていた。慶子は純子と廊下ですれ違う時しか、純子の姿を見ることができなかった。5階で執務する慶子は用もないのに純子の執務する4階フロアーを2度、3度、歩いたりしたこともあった。慶子にとって、純子は憧れの上司以上の存在だった。
「あたしも純子様のように仕事ができて、親切で、思いやりがあって、みんなから慕われる人でありたいわ」
慶子は廊下で憧れの純子とすれ違うたびに呼吸が乱れた。その純子が目の前の直ぐ側に座っているのだから、慶子の心臓がドッグんドッグん、高波が押し寄せるがごとく鼓動していたのは当然だった。
「純子様は何がお好きなのかしら? あたしのお弁当を食べてくれるかしら?」
慶子はそんな事を考えながら純子の動作を見つめていた。本来、好きなものを事前に聞いて作るはずの慶子のおもてなし料理は、何の接点もない慶子にとって準備はできない。憧れているだけで純子様にお近づきになれることはない、と思っていた。
それなのに、純子様と会食できる、とは思っていなかった。それでも、純子様にいつか会いたい、と入所して依頼、考えていたことだ。グループの継承者としてパートナーを探すことも使命ではあったが、個人的には純子様と知り合いたかった。部署が一緒とか、仕事で共同事業でもない限り、接点はない。それが灯台下暗しとはこの事を言うのだろう。なんと、直属の風采の上がらない中年のフツメンの係長が、お慕いする純子様の夫という。それを知ったときの慶子の驚きは衝撃そのものだった。
「あたしも純子様のように仕事ができて、親切で、思いやりがあって、みんなから慕われる人でありたいわ」
慶子は廊下で憧れの純子とすれ違うたびに呼吸が乱れた。その純子が目の前の直ぐ側に座っているのだから、慶子の心臓がドッグんドッグん、高波が押し寄せるがごとく鼓動していたのは当然だった。
「純子様は何がお好きなのかしら? あたしのお弁当を食べてくれるかしら?」
慶子はそんな事を考えながら純子の動作を見つめていた。本来、好きなものを事前に聞いて作るはずの慶子のおもてなし料理は、何の接点もない慶子にとって準備はできない。憧れているだけで純子様にお近づきになれることはない、と思っていた。
それなのに、純子様と会食できる、とは思っていなかった。それでも、純子様にいつか会いたい、と入所して依頼、考えていたことだ。グループの継承者としてパートナーを探すことも使命ではあったが、個人的には純子様と知り合いたかった。部署が一緒とか、仕事で共同事業でもない限り、接点はない。それが灯台下暗しとはこの事を言うのだろう。なんと、直属の風采の上がらない中年のフツメンの係長が、お慕いする純子様の夫という。それを知ったときの慶子の驚きは衝撃そのものだった。