テキストサイズ

トライアングルパートナー

第15章 ヒトメボレ

 慶子は心中で叫んでいるが、唇が動かない。それどころか、両手は進一のベルトに掛かっていた。慶子は自分の脳が命令しているのか分からない。一刻も早く味わいたい、衝動が襲っていてあがなえない。彼のいきり立つものを見たとき、慶子は理性が消えていた。進一のものが愛おしくてむさぼるようにほおばった。慶子が味わう舌の刺激で、進一は慶子の口内へ精を瞬く間に放出してしまうと、すっかり放心し椅子に座り込んだ。慶子は自分の両手を口の前に持っていくと、口の中の液体をはき出した。純子が慶子の肩を抱くように寄り添うと、耳元で言葉を発した。
「慶子さん、味はいかが?」
 手のひらの上の液体を見る慶子の心臓はドッグんドッグん太鼓をたたくかのように体全体を小刻みに振動させていた。口いっぱいに入っていた係長のもので、呼吸が思うようにできなくてめまいがする。
「こんなこと…… 信じられないわ、こんなことを…… させるなんて、純子様はこんなことを…… 家で普通にしているのですか?」
 慶子は体全体で呼吸するようにして、とぎれとぎれで言った。すると、純子はその言葉に不服そうな顔をした。
「あら、あなた、拒絶しないであたしの言う通り、美味しそうにくわえていたじゃないの? よくそんなことを言えるわね?」
 純子の言葉に慶子は何も言えなくなってしまう。
「手の中のもの、ちゃんと味わうのよ」
 純子が慶子に追い打ちを掛けるように言う。純子が慶子の手首をつかんで、慶子の口の前へ移動させた。目から涙を流しながら慶子がその手のひらの液体を舌の先ですくうようにゆっくりなめた。
「そうよ、ゆっくり、味わって」
 慶子は首を右左に振り拒絶した。しかし、すぐに、舌の先でなめている自分がいた。すべてをなめ尽くしたとき、慶子は体が熱く火照っているのを感じた。慶子は心中で、禁断の行為をしてしまった、と嘆いた。それを見た進一が真剣な顔をして言う。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ