ナカまで愛でてトロトロに溶かして
第8章 【栄光の座】
「あ〜緊張する!」
ずっとソワソワしているアシスタントの千景ちゃんと蓮くん。
そりゃ私も気にはなるけど手を動かしてないとどうにかなっちゃいそうなのでとりあえず次のネームに取り掛かっている。
でも携帯が鳴ると秒で取っちゃうのだ。
__発表されたぞ
遂に、マンガ大賞が発表される。
それをいち早く教えてくれる鍵山さんの電話に私たちは釘付けだ。
勿論、サイト上で発表もされるが通達の行く雑誌編集部に鍵山さんは待機していてくれていた。
スピーカーにして皆で聴く。
__タカラアキの「錆と鎖」、TL部門でぶっちぎりの大賞だ
「や、やったー!!!」
3人で両手上げて抱き締め合った。
年甲斐もなくジャンプまでして挙句の果てに泣いた。
数々の有名漫画家や編集部からの選考コメントもサイト上で発表されるらしい。
__おめでとう、とりあえず第一関門は突破だな!それと、サイトにて実写化発表もするからそれ確認してから宣伝OKな
「はい、ありがとうございます」
何だかまだ全然実感沸かないけど、サイト上でも発表され、言ってた通り、実写化の発表もされていた。
同時発表は今回が初らしくてタカラアキが第一人者となってしまった。
そこから携帯が鳴りっぱなしだ。
お祝いメッセージも続々と届いた。
「ていうかアキ先生!実写化なんて話出てたのに何で教えてくれなかったんですか!水くさいじゃないですか〜」
そうですよ!と2人から責められたけどギュッと2人を抱き締める。
「大賞穫るまでは…って自分で決めてたの……ごめん、まだ全然実感湧かないや」
「穫ったんですよ!アキ先生のが一番面白いに決まってるじゃないですか!読者は裏切らない!私たちも信じてました!」
勿論、賛否両論はどの作品でもあるものだろう。
否定的なコメントもチラホラ目にしてきた。
あまり気にしていないって言ったら嘘になるけど、それでも前に進めたのは皆が居てくれたから。
読んでくれている読者と何度も挫けそうになったら支えてくれてきた仲間たち。
もうファミリーだよ。
興奮してまだ手が震えてる私を擦ってくれる。