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ナカまで愛でてトロトロに溶かして

第8章 【栄光の座】






「さぁ、アキ先生、どうぞ」とタブレットを渡してくれる。
お互いまだ裸のままでちょっと可笑しな光景だけど自制してくれて助かった。




「あと、表彰式どうする?」




「へ?」




急に仕事モードになった鍵山さんを見入ってしまう。
スーツも着ていて髪もバッチリだ。
この切り替えの速さも尊敬してやまないところのひとつ。




「顔出し、するか?それとも仮面でも被るか?」




「仮面!?」




「そういや着ぐるみ着て表彰式出た作家も居たな」




「顔出しNGって事でですか?」




「うん、悠はどうする?綺麗なドレス着飾って顔だけひょっとこお面ってのも話題性あるよな」




「うーん………そういうの慣れてないのでどうするべきか一緒に考えてください」




「俺は出すべきだと思うよ」




「え、即答じゃないですか」




「勿体ない、こんな綺麗な顔してどエロいの描いてるなんて更に読者層も増えるだろうしな」




「へぇ、リアルでは独占欲丸出しなのに顔出しはさせちゃうんですね」




「マンガ大賞はひとつの目標だっただろ?タイミングなんてこの先いくらでもあるだろうけど世間様にインパクト与えるには良いチャンスだと思ってな、タカラアキを知らしめるチャンスはモノにしたいじゃんかよ」




「わかりました、鍵山さんにお任せします」




「えっ!?顔出ししてくれんの?」




あまりにも仰天してるからこっちが「え?」ってなる。
もう顔出ししてくれって言ってるようなものだし、この前の式典パーティーで普通に顔出ししたし。
別にちょっと新聞や雑誌に載るくらいでしょ?




「じゃ、OKて事で進めて良い?」




「はーい」




タブレットにペンを走らせながら返事したら急にこっち来て触れるだけのキス。
不意打ち過ぎてキョトンとしてしまったけどこういうところも可愛いよねってギャップ萌え。
コホンと咳払いした私は「今はもうタカラアキなんですけど」って意地悪言う。




「了解です」




どこまで理解してるんだか。
再びペンを走らせると心地良い距離感で集中させてくれる。
呼べばすぐ見てくれて修正箇所も的確にアドバイス受けれて仕事モードに入ると手の届く位置に常に居て欲しい人。









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