テキストサイズ

ナカまで愛でてトロトロに溶かして

第9章 最終章【軌跡】






いつだって背筋を伸ばして凛とする。
カメラを向けられたら視線は外さない。
OKが貰えるまでロックオンだ。
その方が早く終われることを学んだ。
最初は恥ずかしくてよく中断していた。
何で漫画家なのにこんなことしてるんだろうって思ってた時期もある。




さすがに写真集の話はお断りさせて頂いたが、漫画家タカラアキとしてオファー頂いたものは真摯に受けるべきだと思ったから納得してカメラの前に立っている。




インタビューも最短で。
余計な時間は取らせない。
予め用意されていたことに淡々と答えて分刻みでスケジュールを熟していく。
売れっ子だからこその妬みや悪口も聴き流す力は身についた。




車で移動しながら次の仕事を確認。
打ち合わせも移動中行う。
午前中に集中してスタジオをハシゴし雑誌の撮影に挑む。
漫画以外で連載を持つのも初だ。




こうしてメディアで取り上げられると普通に歩いていたら声が掛かることもある。
真っ白なTシャツにサインしてくれって言われたり漫画に出てくるキャラを描いてと言われたりする。




撮影のあった日に疲れて帰ってくるけど、バッチリメイクだった日は蓮くんも千景ちゃんも「おぉ…」と声が上がる。
相変わらず可愛らしいお2人で。
ようやく専属アシスタントになってくれて締め切り前にはあと2名ほど短期で雇って乗り越えている状況。




あ、千景ちゃんは去年ようやく彼氏さんと結婚して人妻になりました。
結婚式にも出席して皆で祝った。
そして今はお腹の中に小さな命が。
安定期に入ってお腹も出だしてる。
9ヶ月目に入ったら産休に入ります。
もうイチャイチャ出来なくなるの。
寂しいよね。




その分、蓮くんとはまだまだ甘い関係ではあるけれど。
2人きりになったらちゃんと「悠さん」と呼んでくれて甘えたな彼氏になる。
結婚出来ないよって伝えてはいるけど、なかなか離れられない関係です。




そして忘れてはならない元旦那の章介。
今も普通に通い詰めてる。
私が呼び出す日もあれば我慢出来ずに会いに来る日も。
それはずっと変わらない。
相変わらず忘れたフリして求婚してくるけど「今もなければ来世でもないよ」って答えてる。








ストーリーメニュー

TOPTOPへ