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妄りな昼下がり(仮)

第4章 雅人 時々 精神科医

雪と雅人は、グラスワインを乾杯する。

「やっぱ、一杯目は白だね。」

雅人はそう言って、店内にBGMを流す。軽快なイタリアのポップスは昼下がりに聴くには少々明る過ぎるが、そんなに酒に強くない雪はすぐにほろ酔いになって音も心地よくなる。

「今日、彼氏の帰宅は?」

雅人が吊り上げた眉毛でこちらを見ながら言う。

「18時くらいかな・・帰って来るまでには帰りますし、それに雅人さんだってお仕事でしょ?」

雪は雅人には、全て本当の事を言った。彼氏がいること、今は仕事をしていなくて、お昼の時間が暇であること。
雅人は大人の余裕で全て受け入れてくれた。雪もその方が気が楽で格好つけずになんでも話せた。

「最近、店暇でさ、うち単価が高いからね・・一見さんは来ないしね。まぁ色々大変だよ。でも雪と会えて良かったなぁ。本当、今充実してるって感じだよ。俺。」

そう言いながら、雅人は二杯目の赤をグラスに注ぐ。雅人はとても気障でマメだ。1990年代はイタリアに留学していたというだけあって、ラテンの文化を学んだ所以か、それとも元々の性質なのか。
職業柄、清潔に刈られた髪と、身だしなみ、年齢の割に皺の刻まれていない顔は、若い頃はモテていたんだろうなと思わされる容姿を雪は気に入っている。

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