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妄りな昼下がり(仮)

第4章 雅人 時々 精神科医

「雅人さん、どうしたの?何かあった?」

「いや、その雪・・もし良かったら、うちで夜バイトしない?働いてないんだろ?生活費の足しにはなるだろうし。それにさ、毎日会えるじゃない?」

「えっ・・」

雪は望んでいない展開だった。

「俺、雪と一緒にいたいなって思ってる。」

「・・・。雅人さん、ごめん率直に言うね。こんな事までして貰ったのに、ごめんなさい。私は今までのお昼に会って別れる関係で良いと思ってる。」

雅人は、頭をタライで打ちつけられたような顔をする、え、なんで?とオッケーされるのが当たり前のように。

「雪、じゃあ俺も率直に言うよ。今の生活にこだわってる理由は何?彼氏だって話しも聞いてくれないんだろ?セックスだって・・」

雪は雅人に全て本当の事を話したことを、後悔した。ステーキが冷たくなっていく、肉から滴る赤い血が固まりになって、それは本当に料理されただけの肉の塊となった。

「その事を何度も聞くなら、私はもう雅人さんとは会わない。」

ややキツイ口調で言ってしまい、雪はしまったと思う。
雅人は吊り上げた眉毛で、雪に聞こえるか、聞こえないかのギリギリの小声で呟いた。

「そうだよなぁ、雪って確かに都合の良い女としては良いけど、ずっといるとなったら違うよな・・」

雅人の精一杯の皮肉は、雪の心を抉った。自分が先に雅人を傷つけたのに、なんて自分勝手な雪。
これが雅人と最後の午餐となった。

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