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妄りな昼下がり(仮)

第5章 名もなき男 のち 秋斗 時々 達也

成と付き合う前の男とは2年ほど付き合った、その頃の雪は浮気症では無かった、以前の彼氏は雪の身体を会ったら毎回可愛いがってくれた、まるで宝物でも愛でるように。

成と付き合う前の、男の名前は秋斗と言った。2人は職場で出会った。秋斗の方は雪を見て一目惚れしたらしい、雪はその感情に気づくまで一年かかった。
秋斗は、「卑屈」という名の甲冑を被ったような男だった。35年間生きてきて女を抱いた経験も無いし、告白されたことも無いらしい。昔溶接業をしていて、焼けた白眼は茶色く濁っていたし、幼少期にテトラサイクリンの影響で青くなった歯はすきっ歯で、とんがって異常に鋭利的な顎を秋斗は持っていた。常に上司や後輩にへりくだって、職場では自分の存在を消していた。
秋斗は容姿に関して女性に褒められたことが無いんだと、卑屈な目をして雪に言う、驚く程に薄い秋斗の眉毛は悲しみを表しているのか判別がつかない。
雪は卑屈だらけの秋斗に興味を持った。こんな卑屈だらけの男を肯定して、肯定して、惚れさせたらどんな反応をするのか。
雪の悪趣味から生まれた恋だった。

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