テキストサイズ

妄りな昼下がり(仮)

第6章 混ぜたら危険。成vs達也。

玄関のドアが閉まった途端に、成が大きな溜息をつく。

「お別れやなぁ、雪・・。男遊びしとる女を養うんは俺は無理や。」

「嫌だ、嫌だ。」

雪はしゃくり上げて言う。

「そこまでして、俺といる理由は何?さっきの男前の兄ちゃんで良かったやん?乗り換えたら良かったんちゃん?俺たち結婚しとる訳ちゃうんやで?」

「そうだけど、一緒に生活するんは、成じゃないと嫌なんよ。浮気してごめんなさい。なんでもするから、別れないでください・・」

「は?無理やろ?さっきの兄ちゃんだけと、ちゃうやろ?LINE毎日いじくってたもんなぁ、俺に見せれるか?」

「それは・・」

「ほら・・な?お前はそういう女なんやろ・・俺が昼仕事の時、時間あったもんなぁ。」

「成は私の事、愛してるの?」

「今はそんな感情思い出せんけど、愛しとったよ、真っ直ぐ家に帰ってきてたやろ?俺は携帯だってその辺置きっぱなしで、見られてもやましいもんないし、本間に付き合って五年経つけど、雪しか愛してなかったよ。」

雪の涙がぼたぼたと落ちる。

「けど、もうお終いや、お母さんとこ帰り。俺は事情があって、すぐには出ていけん、お前は母ちゃんとこ帰りな。」

母の事をあまりよく知らないのだ、成は。母は一筋縄でいく女じゃない。

「ほら、早よ母ちゃんに電話せぇって!」

成に促されて、渋々雪は母親に電話する。ワンコールで母は電話に出た。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ