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🌹密会🌹

第12章 🌹March🌹(終章)-3




「黎一さん、私をどうしても手放したいと言うならそうして下さい。私はこの綺麗な指輪だけ頂いていきます。でも私は待ってます。貴方がまたプロポーズしてくれるのを。10年先でも20年先でも、ずっと待ってます。どんなに貴方が老いても待ってます。貴方が好きだからずっと待ってますから。」



頬を伝っていった美月の涙が、黒いリングケースの上に落ちていく。

キツく抱きしめていた彼の腕が解けていく。

片方の、ややささくれ立った彼の指先が美月の頬に触れ、指先で優しく涙を拭った。


俯いていた顔を上げれば、



愛想を崩した彼の熱のこもった視線とぶつかった。




「俺と結婚してほしい。命に替えてもお前を守り、幸せにすると誓う。生涯をかけてお前の為に誠心誠意尽くす事を約束する。俺の妻になってほしい。結婚してくれ。」



それは


一切飾りの無い彼の真摯な告白だった。


そして美月が夢にまで見たプロポーズの言葉だった。


改まって宣言した彼の真剣な言葉と

決然とした瞳に美月は射止められる。






「もちろん...喜んで。」



泣き顔から一転し破顔すると、美月は彼の告白を受け入れた。


すると、軽い、触れるだけの優しいキスをされる。

美月は彼が舌を入れやすいように唇の隙間を開けた。

彼女の肉厚な唇と唇の隙間に舌を入れようとした彼だったが、すぐに思い止まると彼はゆっくりと唇を離したのだった。


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