無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

私は着替えながらどれくらいで支度できるか思考を巡らせた。
その時ふと思ったことがあった。
ストッキングを履き終えて、つい自然と言葉にしてしまう。

「…なんだか、風俗の面接みたいだったな…」

ピクリと先生が反応した。
あ、と小さく声を上げると先生の顔は間近に迫っていた。

「君、風俗の経験があるのか？」

「い、いいえ！決してそんなことはありません！」

慌てて否定する私だったが、先生はふむっと頷きながらペンを取り出して、またもやメモを取り始めた。

「あ、あのですね！SNSで見かけただけです！お店によっては下着姿になる所もあるって！」

私は必死に弁解し、思ったことを口にした自分の阿呆さに呆れた。

先生は信じてるか分からない表情をしていたが、興味深そうに頷きながらペンを滑らせる。

「…これは面白い。非常に参考になる」

メモ帳を閉じて、デスクに戻すと先生は私と向き合った。

「流石だ。優秀なアシスタントだな君は」

「そ、そうですか…恐れ入ります…」

褒められて少し嬉しい気持ちになり、少しばかりの期待を抱いた。
こんな感じで先生と作品の相談ができるのかもしれないと思うと、ここまで来てよかったのかなっと気持ちが浮上した。

私は先程まで思い巡らせていた事柄に決心し、最後にスカートを整えて先生に伝えた。

「あの…できるだけ明後日からこちらに来れるように頑張ってみます！」

先生は相変わらず冷たい表情をしていたが、頷いて答えてくれた。

「わかった、僕の方でも準備を進めておく」

先生は私を横切って、スタスタと歩くと軋む音がする扉を開けた。

「今日は帰ってもらって構わない。ゆっくり休むといい」

「…はい、ありがとうございました」

ぺこりと頭を下げて、先生が開けてくれた扉を潜った。
背後で扉が軋む音を立てながら閉まった。

窓を眺めると気づけば夕方になっていた。
屋敷の中は私が来た時よりも暗くなっており、埃のかぶったシャンデリアも灰色のままだった。