
ほしとたいようの診察室
第2章 遠い記憶と健康診断
病院に着くとすでに受付が始まっていて、問診票を渡され、健康診断の会場へと通される。
あっち行ってこっち行ってと、指示のまま動くと、最後まで残ったのは医師の問診と、血液検査。
内科医にかかる、というので待合室の廊下で待っていたら名前を呼ばれた。
「星川さん、星川のぞみさん」
診察室に入ると、にこやかに笑みを浮かべる男性医師がいた。穏やかな雰囲気と佇まい。
「こんにちは、星川さんですね」
それと、のんびりとした声に……あれ、聞き覚えが。
この声どこかで……。
あ、まって、小さい時に……もしかして。
ピンと来て、顔を上げた時、先生が首から下げていたネームプレートに目が行く。
「ふふ。久しぶりじゃない? のんちゃんだよね?」
「……あっ、はい。あっ……!」
そのもしかして、だ。
気づいた時に、本能で警戒する。もうその必要がなくても、幼少期の記憶はとてつもなく強烈だった。
「ふ、吹田先生……! お久しぶりです……」
