
ほしとたいようの診察室
第2章 遠い記憶と健康診断
「あ! ビンゴ! やっぱり、のんちゃんだー!」
はしゃいだような、嬉しそうな声に不意を突かれた。
ぱっと顔を上げる。
まともに目が合ったとき、その笑顔に見覚えが無いわけがなかった。
「……蒼音くん……!!」
看護師の蒼音くん。幼少期の入院中、いつでもそばにいてくれた事を思い出していた。
「あは、覚えててくれた? すっかり忘れられててもいいのに、嬉しいなぁ」
これまた、幼少期にお世話になった人が目の前にいて、戸惑う。
蒼音くんは、なにも変わっていなかった。
すらっとした身長、問診票を持つ手には筋肉の筋がしっかり通っている。
屈託ない笑顔でわたしのことを見下ろす。
小さい頃からの印象と、ひとつも変わらずに、明るくて元気なままだった。
