ほしとたいようの診察室
第8章 入院生活は続く
病室のベッドに戻って、体を横にする。
窓からは、夏の陽光が燦々と降り注いでいた。
「ケホッ、ケホッ……」
咳がずっとでている。
ただでさえ、最近ずっと辛かったのだ。
これ以上辛いことはもう、ごめんである。
病室の窓を少し開けると、夏の空気と生ぬるい風が頬を撫でていった。少し湿気た草の香りが鼻を通る。
逃げてしまえばいい。
悪い考えが瞬間的に浮かんだ。窓の外、夏の青空が、手招きするように目に映る。
『放っておくともっとつらくなる』
頭の中にこだまする大海先生の言葉を振り切った。
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