ほしとたいようの診察室
第8章 入院生活は続く
この間、陽太先生と散歩して覚悟していたが、外はとても暑い。
日差しが体を溶かすように全身を射抜いてくる。
こんな日に出るんじゃなかったと少し後悔する反面、病院の消毒ような匂いなどしない外気の爽やかさに喜ぶ自分もいる。
やっと、1人だけで自由になれた。
思えばこの1週間、必ず誰かの監視の目が自分を見ていた。
それはわたしの生きている証拠として映されるモニターであったり、聴診器であったり、血液検査であったり。
治療を受けなきゃいけないことはわかっているけれど、自分の体の隅々までよく知られたまま24時間を過ごすのは、決して心地の良いものではなかった。
深く、深呼吸をする。
どこまで行くかは考えていない。
いずれ病院に戻らないといけない。
でも、いまは何も考えたくなかった。
何に向き合う勇気もない。
少しだけ、 ほんの1時間でもいい。
病院の外へ出て、現実から逃げたかった。
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