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ほしとたいようの診察室

第8章 入院生活は続く






「ゲホッ、ゲホッゲホッゲホッ‼︎」



喉の奥に血の味が滲む。


そうか……わたしの生きている証拠だったものたちが、誰かが見守ってくれている証拠だったんだ。

自由と引き換えに、命を差し出してしまったことに今さら気づく。




咳はどんどんと酷くなっていった。

息を吸う余裕さえも与えてくれない。手が痺れていく。




背中の痛みが増して、体を横にした。というより、ほとんどベンチに倒れ込むように横になった。




公園にいる人々は良くも悪くも無関心で、誰もわたしのピンチに気づくものはいない。





視界が歪んでいく。







やばい、死ぬかも……。




ここは、病院じゃない。いつも助けてくれる先生たちの手の届かないところへ来たことが、嫌な形で実感させられる。

病院から勝手に出たことを、ようやく後悔した。

目を閉じる。









意識が遠のいていきそうになった、







その時。









「のんちゃん!!」









ほとんど悲鳴に近いような声がして、目を開けた。





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