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ほしとたいようの診察室

第8章 入院生活は続く




「頑張ってるつもりなのに。次から次へと。病気ばっかり。」


今朝、ショーツに鮮血がついていたこと。


「仕事も休んで……1ヶ月も入院だなんて……毎日辛くて」


入院してから辛い治療しかしていないこと。


「……陽太先生、知ってる? 毎日吐いてると、喉のここ、筋肉痛みたいに痛くなるの。こんなこと、一生知りたくなかった」


陽太先生を見て、笑ってみたけれど、上手く笑えたかわからない。


「公園で……過ごしてる人見て、羨ましく思ったり……」






わたしには、自由は命と引き換えだった。




「生きているって誰かが言ってくれないと、生きてることにならないんだって、そんな感覚。……わたしだけ、ずっとそんな気持ち」






喉の奥が熱くなる。
飲み込んでいたはずの涙が、心に燻っていた言葉と一緒に流れ出ていく。

もう、どうしようもなかった。
止められなかった。

わたしばっかり、また、かっこ悪い。

そんなことを思うけれど、もうそれもどうでもいいくらいに胸が苦しくなって、涙が止まらなかった。




「ようたせんせ……わたし、だいじょぶだよね……? なおるって、言って……」








わたしが陽太先生から欲しい言葉は、これだった。











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