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ほしとたいようの診察室

第8章 入院生活は続く





心の中、必死に潜り込んだ。
奥底に鍵をかけてしまっていた言葉を見つけ出す。

もう使わない。そう、半永久的に決めていた言葉だ。





しかし、それは臆病な心に勇気の火を灯す言葉だった。






「だから頑張ろう」




静かな病室に、そっと呟くように口にした俺の言葉だけが浮かび上がる。



「一緒に、頑張ろう」



のんちゃんは驚いたような顔をした後、泣き笑いの顔になって、頷いた。

子どもの頃からころころと万華鏡のように変わる表情。

……その顔が、今日は一段と美しかった。





堪らず、そっと頭に触れる。初めて触れる時のように優しく触れた。


少し熱い、その小さな頭に触れる。
その温度に、発熱していたことを思い出し、苦笑する。


笑いかけると、のんちゃんが頬を赤らめた。







……同じ気持ちだったらいいな。

触れる手には、知らないうちにそんな思いを込めていた。









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