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ほしとたいようの診察室

第3章 お仕事&お仕事

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side:のぞみ

「のーんちゃん」

その日、休憩中のわたしを見計らって、陽太先生がカウンターから顔を出した。
陽太先生はさっきお昼を食べているはずだから……。

「あれ、今日はのんちゃんに用事かい?」

大河さんが、にやりと笑う。

「大河さん、休憩中ならのんちゃん連れ出しても良いですか?」

その言葉を聞いた瞬間、胸をヒヤリと冷たいもので撫でられた感じがした。……嫌な予感しかしない。

「どうぞ、ご自由に〜」

わたしの重たい気持ちとは裏腹に、大河さんはテーブルを拭きながら軽く言う。

……うれしくない。
陽太先生に呼ばれてるのに、うれしくない。
わたしの中の何かが、陽太先生に近づいてはいけないと予期しているけど、みんなの手前、逃げられもしない。

「行ってきなよ」

隣に座っていた、小夜ちゃんまで、わたしの背中を押す。

……渋々、陽太先生のもとへ、歩く。

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