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ほしとたいようの診察室

第3章 お仕事&お仕事


「ごめんね、のんちゃん、休憩中なのに」

「つ、連れ出すってどこへ……」

重たい足を引きずるように歩く。怪訝な顔は隠しきれなかった。

不意に、陽太先生がわたしの腕を掴む。
力強くて、優しい手は昔から変わらなくて、安心しそうになってしまう。


「さ、行こうか、のんちゃん。大丈夫だからね」


元気ににっこり笑う、陽太先生。
ずるいのだ、そうやって笑った顔を向けられると、反発しようとする気持ちも、どうにか抑え込まれてしまう。



何も言えずに、引っ張られるように着いていくと……。
内科の外来へと連れていかれる。



「予約はしてあるから」

なんでもないように、陽太先生が言った。

「……?! 予約?!」

驚いて聞き返すと、さらに嫌な言葉が続く。



「健康診断。結果、聞きたくない?」



2週間前に受けた、健康診断のことをすっかり忘れてしまっていた。


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